【アレンジ裏話】『いかないで』
いかないで / 想太 (piano arrange)
アレンジ第2作目。実は春嵐より先に作り始めた曲です。
この曲、皆さんご存知の通り歌詞には電車にまつわる表現があるのですが、音楽的にもその表現が見られるんです。顕著なのはドラムですね。文字に起こせば「ドンタタンドタド」とでもなりましょうか。繰り返し声に出してみてください。これ、電車の通過音に似ていませんか?
さらにAメロのバスドラムにも電車の表現があります。Aメロバスドラ、いま一度意識して聞いてみましょう。……おわかりいただけましたか?段々とバスドラムを打つ間隔が狭まっているんです。本編の始まりとも言えるAメロで、電車が発車するようなリズムを使っているんです。アレンジにあたってこの発車リズムを再現しました。
この曲は仄かに、儚く、夏が香りませんか。歌詞であったり、イラストであったり。音ではどうかと言うと、例えば2番Aメロにあります。ミュートしたトライアングルです。ガラスみたいな音が聞こえるはずです。この音、夏を感じませんか。風鈴に似ているのかもしれないですね。アウトロのフルートにもどこかお囃子の印象を抱きます。
夏らしさと共に儚さも随所にあります。
Aメロ前半。ドラムはバスドラだけなんです。しかも1拍目のみ。これは音楽的には不安定なんです。(人間は音と音の間が長いとそれを埋めて安心させたくなる)この不安定さが危うさ、儚さに転じているんですね。
サビでは裏の美しいストリングスが儚さを添えます。本当に美しいので是非意識して聞いてみてください。
アウトロ、というか曲の終わりですが、今まで主張してこなかったギターがここに来てソロで終わります。この ふわっ と終わる感じも淡くて良いですよね。
こうやってみると、ボカロPの方々は本当によく考えて曲作りをなさっているんですね。
さて、鹿乃さんのカバーはご存知ですか?アルバム『two』に収録されています。このカバーとても好きなんです。伴奏ごと変わっていますから、”ただの”カバーには収まらないのです。最高。歌声を最大限生かす伴奏との相乗効果。マリンバをバンバン使うんですよ。いいなぁ。ウィンドチャイムが儚さを添える。これだけ変えておいて、爽やかに夏感を出すのには脱帽です。ちなみに、歌い手さんやピアノのアレンジを聴いて徹底的に楽曲研究をします。なるべく私の個性を出せるように。
原曲 『いかないで』 想太
引用 『たそがれのステーション』想太
【アレンジ裏話】『春嵐』
【アレンジ裏話】
春嵐 / jhon (piano arrange)
第一回目は『春嵐』。作者はjhonさんです。
記念すべき初投稿アレンジ作品。またjhonさんを知るきっかけとなった曲です。
jhonさんの世界って本当に独創的で好きなんですよね。ミクの声といいピコピコといい歌詞の難解さといい。何となくレトロに感じるのは私だけでしょうか。私がこの曲で1番好きなところ、実はサビ裏でなってるタンバリンなんです。1拍、3拍にアクセントをつけて16分で刻んでいるのですが、このリズム、タンバリン単体だと正直いってダサいんです。カラオケでタンバリン刻んだ方には覚えがありませんか。タンバリンって裏拍で鳴らしますよね。しかし春嵐では表拍でなっているんです。このタンバリンのリズムがjhonさんの世界を強調して輪郭づくっているんです。まさしく才能です。
コードはA♭→G7→Cm→E♭ と進んでいきます。しかしですね、私てっきりG7をGm7と思い込んで進めていました。(使う音が一つだけ変わるのです。)間違いに気づいて訂正した時は、気持ちよくハマった感覚が大きかったですね。音ひとつ違うだけでここまで変わるのかと一人感動していました。
ばんけんさんのカバーかっこいいですよね。裏のメロディをイントロに取っているのですね。聞いた時には「やられたなー」と痺れました。私はと言うと、「stand by me……(空耳)」とストリングスを再現しました。これはこれで珍しいのでは無いでしょうか。我ながら気に入っているアレンジです。
原曲『春嵐』Jhon
はじめまして。
はじめまして。秋雨です。ボカロ曲をピアノアレンジしてます。
こちらのサイトでは【アレンジ裏話】と題しまして、アレンジの解説や、私的原曲の魅力などを綴ります。お暇な時にどうぞ。