秋雨 アレンジ裏話

あきさめです。ボカロとかの楽譜作ります。

【アレンジ裏話】『いかないで』

いかないで / 想太 (piano arrange)

https://youtu.be/yh8gtYW6L-A

アレンジ第2作目。実は春嵐より先に作り始めた曲です。

この曲、皆さんご存知の通り歌詞には電車にまつわる表現があるのですが、音楽的にもその表現が見られるんです。顕著なのはドラムですね。文字に起こせば「ドンタタンドタド」とでもなりましょうか。繰り返し声に出してみてください。これ、電車の通過音に似ていませんか?

さらにAメロのバスドラムにも電車の表現があります。Aメロバスドラ、いま一度意識して聞いてみましょう。……おわかりいただけましたか?段々とバスドラムを打つ間隔が狭まっているんです。本編の始まりとも言えるAメロで、電車が発車するようなリズムを使っているんです。アレンジにあたってこの発車リズムを再現しました。

この曲は仄かに、儚く、夏が香りませんか。歌詞であったり、イラストであったり。音ではどうかと言うと、例えば2番Aメロにあります。ミュートしたトライアングルです。ガラスみたいな音が聞こえるはずです。この音、夏を感じませんか。風鈴に似ているのかもしれないですね。アウトロのフルートにもどこかお囃子の印象を抱きます。


夏らしさと共に儚さも随所にあります。

Aメロ前半。ドラムはバスドラだけなんです。しかも1拍目のみ。これは音楽的には不安定なんです。(人間は音と音の間が長いとそれを埋めて安心させたくなる)この不安定さが危うさ、儚さに転じているんですね。

サビでは裏の美しいストリングスが儚さを添えます。本当に美しいので是非意識して聞いてみてください。

アウトロ、というか曲の終わりですが、今まで主張してこなかったギターがここに来てソロで終わります。この ふわっ と終わる感じも淡くて良いですよね。

こうやってみると、ボカロPの方々は本当によく考えて曲作りをなさっているんですね。

さて、鹿乃さんのカバーはご存知ですか?アルバム『two』に収録されています。このカバーとても好きなんです。伴奏ごと変わっていますから、”ただの”カバーには収まらないのです。最高。歌声を最大限生かす伴奏との相乗効果。マリンバをバンバン使うんですよ。いいなぁ。ウィンドチャイムが儚さを添える。これだけ変えておいて、爽やかに夏感を出すのには脱帽です。ちなみに、歌い手さんやピアノのアレンジを聴いて徹底的に楽曲研究をします。なるべく私の個性を出せるように。

 

原曲 『いかないで』 想太

https://youtu.be/L0tcMxp8Iy8

引用 『たそがれのステーション』想太

https://youtu.be/c4P1M8By2p0